Bobby Witt Jr. ボビー・ウィットJr.

このブログではTV中継のバッテリーの攻防をより面白いものに感じられるような情報を提供します。

2024年のAll MLB 1stチームの選手を取り上げています。選出メンバーについては、MLB.comのサイトを参照してください。

All MLB チームは2019年から開始されました。ポジションごとにその年のレギュラーシーズンで最も活躍したと考える選手をファンや専門家が投票し、その結果に応じて、1stチーム、2ndチームとして選出します。選ばれれば各ポジションにおけるMLBの代表的な選手となるわけで非常に名誉ですね。

1stチームの遊撃手は、ボビー・ウィットJr.選手。

ドラフト1巡目全体3位の父を持ち、自身もドラフト1巡目全体2位(しかも、高校生でこの順位!)。父は投手としてMLB通算142勝、義理の兄たちもメジャーリーガー(ザック・ニールさんは元西武、コーディ・トーマスさんは元オリックス)と、野球一家の超エリートです。

その中でも燦燦と輝いているのがこのボビー・ウィットJr選手です。

高い身体能力、強靭な身体、卓越した才能と努力で急激な成長曲線を描いていくMLBの若きスーパースターです。

目次

概要

メジャーデビューの2022年に早くも20本-30盗塁を達成し、翌2023年には30本-30盗塁、2024年は2年連続の30本-30盗塁達成とともに両リーグ最高の打率.322でア・リーグ首位打者獲得。MVP投票でも2位をランクインするなどスター街道まっしぐらです。

デビュー時はまず走塁で成績を残し、出場機会を重ねるごとに技術を身につけて守備範囲や打撃のコンタクト能力を上げていきます。2023年に走攻守すべての成績を向上させてbWARも4.3に伸ばします。

そして、2024年のシーズン前に大型契約を結び、名実ともにRoyalsの顔となります。これがよかったのか、2024年は下記の通りの大活躍で、文句のつけようがない成績を残しています。

唯一の心残りは、ポストシーズンでの不振だったでしょうか。Royalsには2025年もポストシーズンに進めるだけのチーム力はあるように思えるので、捲土重来を期しているのは間違いありません。

打率本塁打打点出塁率OPS+OPSBB%K%盗塁
.33232109.389.9771728.0%15.0%31

カウント別

MLB打者の平均的傾向 2ストライクでの打撃成績は打率・出塁率・長打率すべてで急降下

  • 各ストライクでの打率/出塁率/長打率
    • 0ストライク .336/.390/.577
    • 1ストライク .326/.391/.538
    • 2ストライク .168/.244/.264

ボビー・ウィットJr選手の傾向をまとめると下記の通りです。

  • ほぼどのカウントでもMLB平均を大きく超えているが、全体的な傾向はMLBの平均とあまり変わらない。
  • (球種にもよるが)2024年までは内角高めがやや苦手の傾向。真ん中より下のローボールには非常に強い。
  • スイングの速さとコンタクト能力を両立できる優秀な打者だが、チェースレートだけは毎年平均以下。
    • ただし、少々外れたボールでもヒットにする技術はある。
  • 2024年に関して言えば、成績上苦手と言える球種はない。
    • ややチェンジアップに対する成績が低めではあるが、球種だけでは対策は見当たらない…

ここまで優秀な打者だとコース別チャートや球種別成績を単独で見てもなかなか攻略法が見当たらないですね。

投手が背負うシチュエーションによって配球を変えるというのはごく当然のことですが、ボビー・ウィットJr選手の長打は引っ張り方向がかなり多く、かつ、反対方向に長打になっているのは真ん中より高めのボールが多いことから、長打を打たれないことに重きを置くなら、引っ張ることが難しいボールを選択することになります。

これにボビー・ウィットJr選手の傾向を加味すると、右投手なら外角低めのチェンジアップやスプリット、左投手なら外角低めのフォーシームがメインになります。

多少、長打のリスクを負ってでも抑えに行くことが必要な場面であれば、右投手でも左投手でも高めのフォーシームを積極的に使っていきたいところ。

変化球であれば、右投手の高めのカッターや左投手の内角スライダーが打てていないので、長打やコントロールミスのリスクも考えつつも、攻略に有効なボールと言えます。

スウィング

MLB.comが提供するスタットキャストに2024年5月に追加された「バット・トラッキング」から抜粋しています(用語の説明は別途)。

順位が高いほうがよいものももちろんありますが、各選手のスウィングの個性が現れます。

スウィングの個性が現れた例

大振りパワーヒッターの典型であるスタントン選手とこれまた安打製造機の典型であるアライズ選手の比較がこちら。

スウィングにパワーを持たせたいスタントン選手は平均バット・スピード、ファスト・スウィング率(75マイル/h以上のスウィング)でMLBトップの数字であるが、コンパクトなスウィングでバットの芯(スウィートスポット)に当てることに長けたアライズ選手はなんと平均バット・スピード、ファスト・スウィング率でMLB最下位。

一方、どれだけ芯に近い場所で打つことができたかを示すスクエア・アップ率はアライズ選手がMLBトップで、スタントン選手はMLB平均以下。

ちなみに、ボールに当たるまでのスウィングの距離を測る「スウィング軌道距離」でも、スタントン選手がMLB最長、アライズ選手がMLB最短と両極端な個性が指標から読み取れます。

平均バットスピードファストスウィング率スウィング軌道距離スクエアアップ率
スタントン81.3m/h98.7%8.6ft20.8%
アライズ63.2m/h0.3%6.0ft43.9%

ボビー・ウィットJr.選手のスウィング指標は少し独特で、軌道距離が短いのにバットスピードが出ていますね。

始動のタイミングなどの要素も絡んでくるものの、物理的に考えると対象物(ボール)までの距離が短い方がコンタクトはしやすいはずです。

短い軌道距離でスウィング・スピードを出せるという特色が、平均以上のスクエア・アップ率と上位のブラスト・スウィング率につながっていると考えます。

2024個人MLB順位MLB平均
平均バットスピード74.7m/h3171.5m/h
ファスト・スウィング率48.3%2722.5%
スウィング軌道距離7.1ft1657.3ft
スクエア・アップ率27.5%6025.0%
ブラスト・スウィング率16.1%1410.3%
バレル率14.3%13-

詳細データ

上に書いた内容のエビデンスデータを記載しています。
このデータを使って、「自分だったらどの球種、どのコースで取るか」を考えていただくのも野球の1つの楽しみ方だと思います(もちろん走者の数や投手の持ち球によって変わりますけどね)。

カウント別詳細

個人

カウント別打率出塁率長打率OPS
初球.420.434.7411.174
1-0.510.5101.0411.551
2-0.412.389.9411.330
3-0--1.000----
0-1.375.378.7001.078
1-1.492.492.7461.237
2-1.286.278.543.821
3-1.231.677.4621.139
0-2.262.281.459.740
1-2.223.229.369.598
2-2.195.193.333.527
3-2.333.551.5291.081

MLB平均との差

平均との差打率出塁率長打率OPS
初球+.087+.090+.181+.269
1-0+.172+.167+.458+.626
2-0+.068+.042+.309+.350
3-0--+.056----
0-1+.050+.044+.187+.231
1-1+.171+.165+.221+.386
2-1-.045-.056-.029-.085
3-1-.108-.022-.162-.184
0-2+.114+.124+.238+.362
1-2+.059+.058+.121+.179
2-2+.025+.016+.064+.082
3-2+.142+.098+.201+.301
コース別詳細

対右投手

対左投手

球種別詳細
球種打席数打率長打率wOBA空振り%K%
4-Seam Fastball177.302.648.42120.118.1
Slider136.317.484.37929.716.2
Sinker127.384.634.4698.27.1
Cutter59.365.538.41627.720.3
Changeup73.265.397.32628.216.4
Curveball49.271.521.3422620.4
Sweeper47.390.805.51325.612.8
Split-Finger26.458.917.58720.911.5
Slurve6.500.667.50800
データ参照先

「カウント別詳細」のデータは baseballreference.com を参照しています。
「コース別詳細」および「球種別詳細」のデータは baseballsarvant.mlb.com を参照しています。

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