Salvador Perez サルバドール・ペレス

このブログではTV中継のバッテリーの攻防をより面白いものに感じられるような情報を提供します。

2024年のAll MLB 2ndチームの選手を取り上げています。選出メンバーについては、MLB.comのサイトを参照してください。

今回は、2ndチームの捕手であるサルバドール・ペレス選手。

All MLB チームは2019年から開始されました。ポジションごとにその年のレギュラーシーズンで最も活躍したと考える選手をファンや専門家が投票し、その結果に応じて、1stチーム、2ndチームとして選出します。選ばれれば各ポジションにおけるMLBの代表的な選手となるわけで非常に名誉ですね。

とにもかくにも(2025年開幕時点で)34歳とは思えぬ貫禄が漂っています。

2011年にメジャーデビューを果たして以来、14年間Royals一筋で、2013年には正捕手の座をつかみます。

正捕手になってからは、トミー・ジョン手術で全休だった2019年を除けば、長らくリーグ屈指のキャッチャーであることは間違いなく、活躍期間の長さには目を見張るものがあります。

また、2015年のRoyalsのワールドシリーズ優勝を経験していて、かつ、現在、MLBで現役なのはこのペレス選手だけです。

目次

概要

デビュー時から基本的な特徴は変わりません。

まず、強肩強打が売りで、本塁打王や盗塁阻止率リーグトップなどの戴冠経験があります。2025年現在もその長打力や盗塁阻止能力は維持できています。

一方、長打力は高いのですが、一貫して四球率が低く(キャリア全体で3.9%!)、OPSでの評価はやや低めに出てしまう傾向があります。

また、守備に関して言えば、フレーミング能力の評価が低く、かつ、年齢的な考慮もあって、近年はDHや一塁手での出場も増えてきました。

実はペレス選手ですが20代の間はゴールドグラブ賞を何度も受賞しています。当時は守備能力も高いと評価されていたのです。
ですが、2010年代半ばから、テクノロジーの進化とともに測定可能な評価指標が増加。このことで、捕手に求められる能力が変わってきます。具体的には、フレーミング能力が重視されるようになり、これがきっかけとなって、ペレス選手に対する守備の評価が一気に変わりました。

打率本塁打打点出塁率OPS+OPSBB%K%盗塁
.27127104.330.7861206.7%19.8%0

カウント別

MLB打者の平均的傾向 2ストライクでの打撃成績は打率・出塁率・長打率すべてで急降下

  • 各ストライクでの打率/出塁率/長打率
    • 0ストライク .336/.390/.577
    • 1ストライク .326/.391/.538
    • 2ストライク .168/.244/.264

サルバドール・ペレス選手の傾向をまとめると下記の通りです。

  • 0ストライクでの成績はMLB平均よりかなり高いが、なぜか2ボール0ストライクだけは非常に成績が悪い。
  • 初球から積極的に手を出してくるフリースインガー(何でも手を出す打者)で、選球眼に関する指標はメジャーワースト級。
  • 全体的には内角高めが苦手で外角低めが得意というやや特殊なタイプ。
  • 年によって球種別成績は変わるものの、シンカーは一貫して得意。
  • ここ数年、右投手のフォーシームに対する成績が急降下。

キャリア通じて強肩強打という特徴は変わらないのですが、2019年のトミージョン手術以前と以降で変化があったところがあります。

それは、三振率や空振り率です。

2018年までは三振率が20%を超えたのは1年のみだったのですが、2020年以降はほぼ毎年20%を超えています(超えていない2024年も19.8%)。この頃から強くスイングすることを優先したのでしょう。三振率は悪化したものの、本塁打率も上がり、2021年には本塁打と打点の二冠を取っているので、スタイル変更の目的は達せられたと言えます。

ただ、ここ数年、右投手の速球系の対応能力が急激に下がってきています。2024年のフォーシーム、カッターに加え、2025年の執筆時点では得意だったシンカーの成績も悪化しています。

よって、右投手であれば速球系を中心にある程度ゾーンを散らしていけば、ボール球でも手を出してくることもあり、攻略の目途は立つと考えられます。

低めの変化球を拾う上手さはあるので、緩急を重視するよりは、基本高めに投げ込み、低めに投げるのはカッターかスプリットという組み合わせがよいでしょう。

左投手の速球系は打ちます。ただ、内角に来ると対応しきれていないので、フォーシームは内角中心に投げ込み、内角へのスライダーか外角のチェンジアップで勝負が基本線になります。

スウィング

MLB.comが提供するスタットキャストに2024年5月に追加された「バット・トラッキング」から抜粋しています(用語の説明は別途)。

順位が高いほうがよいものももちろんありますが、各選手のスウィングの個性が現れます。

スウィングの個性が現れた例

大振りパワーヒッターの典型であるスタントン選手とこれまた安打製造機の典型であるアライズ選手の比較がこちら。

スウィングにパワーを持たせたいスタントン選手は平均バット・スピード、ファスト・スウィング率(75マイル/h以上のスウィング)でMLBトップの数字であるが、コンパクトなスウィングでバットの芯(スウィートスポット)に当てることに長けたアライズ選手はなんと平均バット・スピード、ファスト・スウィング率でMLB最下位。

一方、どれだけ芯に近い場所で打つことができたかを示すスクエア・アップ率はアライズ選手がMLBトップで、スタントン選手はMLB平均以下。

ちなみに、ボールに当たるまでのスウィングの距離を測る「スウィング軌道距離」でも、スタントン選手がMLB最長、アライズ選手がMLB最短と両極端な個性が指標から読み取れます。

平均バットスピードファストスウィング率スウィング軌道距離スクエアアップ率
スタントン81.3m/h98.7%8.6ft20.8%
アライズ63.2m/h0.3%6.0ft43.9%

サルバドール・ペレス選手のスウィング指標ですが、パワーヒッター傾向が強いと言えます。

バットスピード、ファスト・スウィング率やハードヒット率が平均より高く、スウィート・スポット率も2024年は39.4%とMLB上位の数字を出し、バレル率も平均を超えています。

ペレス選手が長打を打てる技術とパワーを持っていることはこれらの指標から窺えます(加えて、ガンガン振っていくので本塁打の積み上げなどに必要な母数も増えますよね)。

2024個人MLB順位MLB平均
平均バットスピード73.2m/h6071.5m/h
ファスト・スウィング率33.3%6022.5%
スウィング軌道距離7.9ft127.3ft
スクエア・アップ率24.9%10525.0%
ブラスト・スウィング率13.0%4310.3%
バレル率12.2%31-

詳細データ

上に書いた内容のエビデンスデータを記載しています。
このデータを使って、「自分だったらどの球種、どのコースで取るか」を考えていただくのも野球の1つの楽しみ方だと思います(もちろん走者やアウトの数や投手の持ち球によって変わりますけどね)。

カウント別詳細

個人

カウント別打率出塁率長打率OPS
初球.368.385.6901.074
1-0.481.481.7691.251
2-0.000.091.000.091
3-0.000.955.000.955
0-1.397.395.603.997
1-1.261.261.435.696
2-1.391.391.6091.000
3-1.200.500.8001.300
0-2.127.141.143.283
1-2.198.204.297.501
2-2.145.165.253.418
3-2.278.534.6671.201

MLB平均との差

平均との差打率出塁率長打率OPS
初球+.035+.041+.130+.169
1-0+.143+.138+.186+.326
2-0-.344-.256-.632-.889
3-0-.426+.011-.890-.879
0-1+.072+.061+.090+.150
1-1-.060-.066-.090-.155
2-1+.060+.057+.037+.094
3-1-.139-.199+.176-.023
0-2-.021-.016-.078-.095
1-2+.034+.033+.049+.082
2-2-.025-.012-.016-.027
3-2+.087+.081+.339+.421
コース別詳細

対右投手

対左投手

球種別詳細
球種打席数打率長打率wOBA空振り%K%
4-Seam Fastball148.256.474.35024.623
Slider128.274.419.34233.519.5
Sinker102.330.580.4188.33.9
Sweeper74.243.414.30331.425.7
Cutter57.200.291.24631.317.5
Changeup56.315.481.3573219.6
Curveball54.269.481.32538.937
Split-Finger20.176.235.30346.930
Slurve4.7501.500.95000
データ参照先

「カウント別詳細」のデータは baseballreference.com を参照しています。
「コース別詳細」および「球種別詳細」のデータは baseballsarvant.mlb.com を参照しています。

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