William Contreras ウィリアム・コントレラス

今回から2024年のAll MLB 1stチームの選手について書いていきます。選出メンバーについては、MLB.comのサイトを参照してください。

All MLB チームは2019年から開始されました。ポジションごとにその年のレギュラーシーズンで最も活躍したと考える選手をファンや専門家が投票し、その結果に応じて、1stチーム、2ndチームとして選出します。選ばれれば各ポジションにおけるMLBの代表的な選手となるわけで非常に名誉ですね。

1stチームのキャッチャーは、Brewersのウィリアム・コントレラス選手。お兄さんのウィルソン・コントレラス選手も有名で2025年開幕時点ではカージナルスに在籍しています。2022年には兄弟揃ってオールスター選出されました。

キャッチャーで兄弟というとモリーナ3兄弟が有名ですね。

また、これまで名キャッチャーを輩出する国と言えばプエルトリコでしたが(モリーナ兄弟を含め、イバン・ロドリゲスさんやホルヘ・ポサダさんなどの出身国)、ベネズエラ出身のコントレラス兄弟が出てきたことで少し風向きが変わってくるのかもしれません。

このブログではTV中継のバッテリーの攻防をより面白いものに感じられるような情報を提供します。

目次

概要

2022年以降の3シーズンは常にOPSが.850前後で、2024年はMVP投票で5位に入るなどMLBを代表する強打のキャッチャーに成長。

MLB.comや各種Fantasy Baseballなどが提供している2025年開幕前の選手ランキングでも、多くの媒体がキャッチャー部門の1位をウィリアム・コントレラス選手としています。

スタットキャストによると、年による差異はあるものの、2023年の守備面の数値は非常に高く、攻守兼備の選手と言えます。

打率本塁打打点出塁率OPS+OPSBB%K%盗塁
.2812392.365.83113011.5%20.5%9

カウント別

MLB打者の平均的傾向 2ストライクでの打撃成績は打率・出塁率・長打率すべてで急降下

  • 各ストライクでの打率/出塁率/長打率
    • 0ストライク .336/.390/.577
    • 1ストライク .326/.391/.538
    • 2ストライク .168/.244/.264

ウィリアム・コントレラス選手の傾向をまとめると下記の通りです。

  • 初球から積極的にスウィングをしてくるタイプ。
  • 空振り率はやや高めではあるが、ボール球はうまく見極めることができる。
  • 大きく苦手にする球種はなく変化球への対応もかなりよいが、2023年、2024年とやや速球系への対応力が落ちてきている。
  • 少し左投手の内角高めをやや苦手にしてはいるが、基本的にはどのゾーンもうまく対応する。
  • 右中間方向への本塁打が多く広角に打球を飛ばせる。
    • ただし、この点に関しては、レフト方向に飛球を打てていなさすぎるとも言える。

コース・球種ともにあまり苦手が見られず、かつ、ボール球にもそんなに手を出してこない穴の少ない打者です。スウィングにもパワーがあり、当てるときは芯に当ててくるので長打の可能性も高いです。

ただ、この選手の打球を詳しく分析をすると、ゴロ率が非常に高く(54.0%でMLB全体で4位)、かつ、引っ張り方向に飛球を上げることができないので、カットボールやスプリットのようなゴロを誘発しやすいボールを中心にして、内野ゴロを狙うのは確率の高い戦略でしょう。

また、空振り率も低くはない、かつ、速球への対応力が少し落ち気味なので、質が高いフォーシームを持っている投手なら、フォーシームも効果的です。

スウィング

MLB.comが提供するスタットキャストに2024年5月に追加された「バット・トラッキング」から抜粋しています(用語の説明は別途)。

順位が高いほうがよいものももちろんありますが、各選手のスウィングの個性が現れます。

スウィングの個性が現れた例

大振りパワーヒッターの典型であるスタントン選手とこれまた安打製造機の典型であるアライズ選手の比較がこちら。

スウィングにパワーを持たせたいスタントン選手は平均バット・スピード、ファスト・スウィング率(75マイル/h以上のスウィング)でMLBトップの数字であるが、コンパクトなスウィングでバットの芯(スウィートスポット)に当てることに長けたアライズ選手はなんと平均バット・スピード、ファスト・スウィング率でMLB最下位。

一方、どれだけ芯に近い場所で打つことができたかを示すスクエア・アップ率はアライズ選手がMLBトップで、スタントン選手はMLB平均以下。

ちなみに、ボールに当たるまでのスウィングの距離を測る「スウィング軌道距離」でも、スタントン選手がMLB最長、アライズ選手がMLB最短と両極端な個性が指標から読み取れます。

平均バットスピードファストスウィング率スウィング軌道距離スクエアアップ率
スタントン81.3m/h98.7%8.6ft20.8%
アライズ63.2m/h0.3%6.0ft43.9%

ウィリアム・コントレラス選手のスウィング指標は非常にバランスがよいです。スウィング・スピードが速く、スクエア・アップ率も高く芯でとらえる技術もあり、結果、ブラスト・スウィング率もMLBで上位をキープできています。

本来、これだけのスウィング数値があれば、もっと長打率が上がってもよいはずなのですが、実は、スイートスポット%だけはMLB全体の中でもかなり低く、打球に角度をつけられないという問題を抱えています。

そこが改善できれば、MLB屈指の強打者になれる逸材ではあるのですが、角度をつけようとフォーム改造をすれば他のバランスが崩れる可能性もあるので、プレイヤーとして難しい判断になります。

2024個人MLB順位MLB平均
平均バットスピード74.7m/h3071.5m/h
ファスト・スウィング率50.4%2622.5%
スウィング軌道距離7.3ft1077.3ft
スクエア・アップ率26.1%8225.0%
ブラスト・スウィング率15.6%1610.3%
バレル率10.0%51-

詳細データ

上に書いた内容のエビデンスデータを記載しています。
このデータを使って、「自分だったらどの球種、どのコースで取るか」を考えていただくのも野球の1つの楽しみ方だと思います(もちろん走者の数や投手の持ち球によって変わりますけどね)。

カウント別詳細

個人

カウント別打率出塁率長打率OPS
初球.344.351.538.889
1-0.333.350.8721.222
2-0.546.5461.0911.636
3-0.500.9441.0001.944
0-1.390.390.492.881
1-1.400.400.6601.060
2-1.192.192.385.577
3-1.333.745.3891.134
0-2.150.150.175.325
1-2.242.242.330.572
2-2.120.130.187.317
3-2.264.452.539.991

MLB平均との差

平均との差打率出塁率長打率OPS
初球+.011+.007-.022-.016
1-0-.005+.007+.289+.297
2-0+.202+.199+.459+.656
3-0+.074--+.110+.110
0-1+.065+.056-.021+.034
1-1+.079+.073+.135+.209
2-1-.139-.142-.187-.329
3-1-.006+.046-.235-.189
0-2+.002-.007-.046-.053
1-2+.078+.071+.082+.153
2-2-.050-.047-.082-.128
3-2+.073-.001+.211+.211
コース別詳細

対右投手

対左投手

球種別詳細
球種打席数打率長打率wOBA空振り%K%
4-Seam Fastball182.261.459.35824.717.6
Sinker145.346.528.42413.610.3
Slider111.252.359.32135.723.4
Changeup66.283.533.3783634.8
Curveball40.371.686.48029.725
Cutter60.220.400.35128.710
Sweeper47.195.341.28843.640.4
Split-Finger20.263.316.27837.835
Slurve------50--
Screwball1.000.000.000--100
Knuckleball----------
データ参照先

「カウント別詳細」のデータは baseballreference.com を参照しています。
「コース別詳細」および「球種別詳細」のデータは baseballsarvant.mlb.com を参照しています。

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